小論文についての根本的な不合格要因
【本質的な問題点】
多くの受験生の最大の不合格要因とは、『テンプレート解法』で対処しようとすることです。
~世界の天才が集まるケンブリッジ大学~
私が大学院修士課程に在学していた時のことです。クラスメートの東大卒の1級建築士が、こんな発言をしました。
『ケンブリッジ大学の医学部の面接で、受験生が面接室に入ると、開口一番、大学教授は
「なぜ細胞は死ぬのかね?」と聞いた
らしいよ。』
写真:世界トップスクールのケンブリッジ大学(ノーベル賞受賞者多数輩出)
彼のケンブリッジ卒の友人は、家に遊びに来ていたそうです。
この質問は、学生の知性を推し量る質問です。どの医学書を開いても、なぜ細胞は死ぬのかについて、明確な答えは書かれていません。図書館で調べた知識やネタ本の知識で突破できるような試験をケンブリッジ大学は用意したくないと考えているのでしょう。慶應大学も同じです。
ネタ本を読んでも、どこにもなぜ細胞が死ぬのかについての答えはありません。また、誰かがこのネタを作っても、そんなものには意味はありません。当時私はこの質問を大変興味深く感じ、クラスメートと、細胞が死ぬ理由について、大学院で議論をしました。議論は、エントロピーの法則や永久機関の話に及びました。無機物からなぜ有機物が誕生したのか、そして、その有機物が進化の過程で、どのように細胞分裂という手段を形作り、40億年を超える地球の歴史の中で、生命活動のレベルを引き上げていったのか、議論は続きました。そして、生命に『死』というシステムが、太陽エネルギーを効率的に伝達するために組み込まれたのではないかという仮説に私は到達しました。
ここで正解主義の人は、正解にこだわります。正解こそが評価されると考えているのです。しかし、世界一の理系大学マサチューセッツ工科大学では、試験の答えよりも、そのプロセスを評価するそうです。その理由は、『答えだけが正解で、そのプロセスを考えることができない人間は、エンジニアとして最も危険だから』だそうです。日本で主に行われているのは、正解主義の暗記教育です。一方で、世界トップスクール(世界の数万の大学の中で上位5大学ほどのトップスクール)は、知性を求めており、どうやってその正解にたどり着こうとしているのか、その思考プロセスの巧拙、優劣を評価しています。
なぜ、細胞は死ぬのかね?というケンブリッジ大学医学部の面接の問いに話を戻しましょう。
ここで問われているのは、原因ではなく、理由です。
もしも、この問いが、『なぜこの試験管の中の細胞は、昨日死んだのか』と質問されれば、それは原因を問われています。このケンブリッジ大学の試験で問われたのは、原因ではなく、一般原則である理由です。知性は理由を要求するのです。物理学者のニュートンは、なぜりんごは木から落ちるのかという問いから、万有引力の法則を導いたと言われています。この考察も、なぜ今回目の前にあるリンゴは今落ちたのか?という問いではありません。リンゴが木から落ちるのであれば、なぜ月は地球に落ちてこないのだろうか?という考察が、一般法則発見の手掛かりになっています。ニュートンは、ケンブリッジ大学卒であり、微積分法、万有引力の法則、ニュートン力学などの発見者として、有名です。
筑波大学の名誉教授はテンプレート思考の「ワンパターン解法」の小論文本を鋭く批判した
筑波大学名誉教授 澤田昭夫著 「論文のレトリック」P38より引用
私は『脱テンプレート解法』を掲げ、『考える小論文』を提唱しています。そして、若い受験生に、どう考えるのかを指導してきました。その結果3年連続で全国1位、偏差値87.9などの報告をもらっています。一方で・・・
あなたは、「この小論文解法で受かる」という主張や説を見たことはありませんか?
テンプレート思考とは、大体以下のようなものです。
「〇〇方式小論文必殺法」
「〇〇の最強の書き方」
「譲歩構文法(確かに~しかし・・・)」
「反論の取り扱い法」
「原因を考えた後に対策案を書く」
「最初に〇〇する」
「発想法はこれを使う」
あなたはこのような「構文」「ワンパターン解法」を使っていませんでしたか?
あなたは「問い」を書く論文指導を受けていますか?
偏差値87.9、2年連続偏差値85超え、3年連続日本1位輩出の『考える小論文』と、知性が落ちる『テンプレート解法』
~点数が低くなるテンプレート思考と「考える小論文」~
テンプレート思考は実質的には何も考えていません。考え方を教えてもらっているのではなく、「何も考えなくても文字数を埋めることができる考え方」を教えてもらっているからです。
このような、なんら知性を要求しない浅い考え方と、知性の限界に迫る『真の高みに到達する考える小論文』とでは、どちらがあなたの頭を良くして、難関一流大学に合格できるでしょうか。
言うまでもありません。答えは、『考える小論文』です。だからこそ、当塾の塾長である牛山の小論文指導により、小論文日本一が3年連続で出ているのです。
ごく一部の才能やセンスに恵まれた生徒だけが、上位の成績を収めることができる『テンプレート解法』に対して、当塾が指導している~脱テンプレート思考~『考える小論文』は飛躍的に生徒の成績を伸ばしてきました。
立教大学教授 石川巧著 「いい文章」ってなんだ?P220より引用,2010,ちくま新書
そして、この大学教授が書いた本には以下の内容も書かれています。
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このような環境の中で、論述的な文章を書いたこともない生徒たちに小論文の書き方を教えるために用いられるのが、一定のパターンに沿って段落ごとに文章を流し込み、形式的にそれらしい体裁を整える方法である。
だがこの苦肉の策は、いつのまにか小論文指導の基本として信奉されるようになり、実際に書かれる答案もほとんどがフォーマット化されていくことになる。
(中略)
そこに必要事項を落とし込んでいくことによって全体の構成を整えるやり方が伝授される。それを反復していれば、書くことへの抵抗感が払拭され、どのような問いかけにも対応できるようになるという幻想は、受験生はもちろん指導者のなかにもあるし、・・・
---------------------ここまで--------------------
テンプレート思考が危険な3つの理由とは?
理由1:大学の教員とのイタチごっこ
~今後ますますワンパターン解法は通用しなくなる~
あなたは、慶應大学の教員が、ワンパターン解法のテンプレート思考で入試をすり抜けられるほど間抜けだと思いますか?
大学側は、何も考えることができない受験生を合格させたくないと考えています。言い換えれば、だからこそ小論文試験が用意されています。それにも関わらずテンプレート思考で受験生が受験するとどうなるでしょうか。対策が強化されます。
図式化問題の強化 2016.2017年度 総合政策学部
図を描かせる問題というのは、作図力を見る問題ではありません。テンプレート解法で試験を潜り抜けようとする学生の文章力に惑わされずに思考力を見ることが主眼であると考えられます。ワンパターン解法で対策をしようとしているあなたは、既にもう対策を始められている可能性があります。それにもかかわらず、まだあなたはワンパターン解法で試験をすり抜けようとしているのですか。そのようなリスクを冒す意味はありません。
変則的な問題の追加(物語を作りなさい)2018年度 環境情報学部
2018年環境情報学部の入試問題は、物語を作りなさいというものでした。原因を書いて対策案を書けば受かると、ワンパターン解法を教えられていた受験生は、苦しんだでしょう。英語ができるか、一部の才能やセンスがある受験生が合格しました。
理数系的な問題の出題 2018年総合政策学部
内容の理解を問うパズルのような問題が出題されました。結局のところ、どのように述べるかというよりも、考えることが純粋にできるかどうかが問われました。
大学側とのいたちごっこは昔から続いています。この意味のない連鎖を断ち切る方法は簡単です。あなたの知力を伸ばし、考える力をつければよいのです。そのための脱テンプレート思考の考える小論文教育が当塾の指導です。そして、ダントツの成績アップを実現してきました。
理由2:能力が低いと考えられてしまう
~センスや知性は能力の高さの一部~
1.ピラミッドストラクチャーを使えばいいなどというのはテンプレ思考の典型
私が拙著『慶應小論文合格BIBLE』を書き、その中でフレームワークを紹介してから、マネをする塾が続出しました。フレームワークと言えばかっこうがいいからです。その典型はピラミッドストラクチャーです。しかし、このフレームワークの間違った使い方が、流行ってしまいました。思考に関する素人が、フレームワークはこうだろうという具合に本を斜め読みして、勘違いをして、受験生を教えるようになったことが原因です。
2.慶應法科大学院主席合格の弁護士は、構文思考を否定
構文当てはめ型の解法について慶應法科大学院主席合格の弁護士は、『構文の使用は、受験心理として分からないことはないものの出題の根本理念に反し大変危険である』と『論文センス錬成道場』という書籍の中で断じています。ワンパターン解法はどのような論文テストでも危険だということでしょう。
※ご注意:この本は、小論文の本ではなく、法律論文対策の本です。
3.構文に当てはめただけの妥当性の低い論考
筑波大学名誉教授 澤田昭夫著 「論文のレトリック」P51より引用
あなたは設問の要求よりも、解法や構文を重視した書き方をしてしまっていませんか?
近年設問の要求を無視して、構文(ワンパターン解法)を押し通す答案が目立つようになりました。澤田名誉教授が述べるように、非常に危険な考え方です。
原因を書いて対策案を書く答案や、『確かに~しかし・・・』と書く答案は、大きく減点されることが非常に多いものです。ほとんどのケースで、これらの答案は、構文に当てはめることだけを目的として書かれており、肝心要の内容が無いものがほとんどになってしまっています。構文に当てはめたので、正解だろう・・・という勘違いが、内容を不適当なものにしてしまっています。
構文に当てはめている文章を見た教員の心理は次のようなものです。
(またこの解法か!正直ウンザリだ。この子も考える力が無いからこんなのに頼ってめちゃくちゃな文章を書いてしまうんだろうな。なんだかこういう自分の頭で考えることができない学生や、問いを無視している学生、自分で考える努力をしようとしない学生の答案を見ているとイライラしてくるな・・・)
そして、(こんなの35点くらいだろう)などと思われてしまうことも多いでしょう。
理由3:論文ではなく作文になってしまう
~世界標準の書き方は序論・本論・結論~
序論とは問いがある段落であり、本論とは、論証している段落であり、結論とは、結論が書かれている段落のこと
1,受験生が何も知らないのを良いことに言いたい放題の広告宣伝が横行
筑波大学名誉教授 澤田昭夫著 「論文のレトリック」P33より引用
あなたは複雑すぎる「構文」を詳しいから良いやり方などと勘違いしていませんか?
いろいろな本やウェブサイトでは、小論文の広告宣伝が踊っています。どの小論文指導も、『我こそは正しい指導なり』と主張しており、結局のところ、点数が上がると謳っています。しかし、本当にそうなのでしょうか。複雑すぎる解法が提唱されていることも少なくありません。大量に受験生を確保する大安売り塾では、受験生がたくさんいるので、才能豊かな学生は上位の成績を取ることもあります。しかし、そのような学生は何もしなくても最初から良い成績を取れた可能性があります。論文の世界標準の書き方とは、序論・本論・結論です。
筑波大学名誉教授 澤田昭夫著 「論文のレトリック」P74より引用
あなたは問いと結論がつながった小論文を書いていますか?
どのような小論文の答案構成が良いのでしょうか。以下の図を参考にしてください。
図:拙著「慶應小論文合格BIBLE」より引用抜粋
私が運営する塾では、このように、適切な論文の書き方に沿って指導が行われています。
筑波大学名誉教授 澤田昭夫著 「論文のレトリック」P34より引用
あなたはシンプルな書き方ではなく複雑な構文を利用してしまっていませんか?
どのような大学の教員でも、この序論・本論・結論の大原則に反論する人はいないでしょう。この論文構成は、それくらいに当たり前の、大枠なのです。
2.言葉の当てはめゲームでめちゃくちゃな指導(その場逃れ指導)
結局のところ、よく分からない構文指導では、『こんな感じの構成』という大雑把な構成について、すべての解答例が、この構成でOKになっているなどと説かれています。しかし、現実には、単にそれっぽいことを、文章力があるおじさんが書いているだけ・・・などという事も少なくありません。要は、その通りに書いたから、その解答例になったというよりも、無理やりに過去問題を解いた時に、この話の展開になんとなく、それとなくすると、こういう答案を作ることもできるよ(ただし、この模範解答は、けっこう文章を書くことが得意なおじさんが書いているので、それっぽく見えているだけ)ということが少なくありません。
このような多くの小論文本の現状に対して、筑波大学の名誉教授は、『その場逃れの指導である』と厳しく批判しています。
論文の本質を指導しないばかりか、特定の構文や解法で受験生をけむにまき、実質的に書籍の大部分が解答例で埋め尽くされ、肝心要の論文指導が何もできていないと、筑波大学の名誉教授は述べています。筑波大学の名誉教授は、このような小論文指導が、小論文を教えることから逃げているばかりか、不適当な内容を教えているということを鋭く見抜いているということです。
筑波大学名誉教授 澤田昭夫著 「論文のレトリック」P18より引用
あなたは問いなど設定しなくてもいいと勘違いしてしまっていませんか?
この言葉は、筑波大学の名誉教授が書かれている「論文のレトリック」の第一章、「よい論文とは」という最初の章から引用しました。問いがないテンプレート解法は、多くのテンプレート解法の中でも危険度の高いものであると言えるでしょう。
この後に、著者は、良い論文について、「統一」「連関」「展開」が重要であると述べた上で、統一について以下のように述べています。
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統一とは、主要な問、主問が、論文の大黒柱ないし、焦点として全体を貫いているということです。
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同著について、P19より引用
あなたは論文で問われている設問と無関係な前提をダラダラと小論文に書いてしまっていませんか?
3.東京大学大学院の教授は、一つの問いに一つの答えを書けと指導
論文と作文の違いは論点があるかないかです。言い換えれば、論点を中心に書かれたものが論文であり、作文は論点を中心に書かない文章と言えるでしょう。例えば、原因を書いて対策案を書くような論文や、確かに〇〇だ、しかし、〇〇だと主張するような論文は、ほとんどのケースで、論点がズレてしまいます。その理由は、いくつも主張することにあります。論文の型を教えずに、構文(ワンパターン解法)で教える小論文指導は根本的に間違っていることが少なくありません。
脱テンプレート思考の『考える小論文』で、これらの問題は解決します
次の図を見比べてください。
~点数が低くなるテンプレート思考と「考える小論文」~
あなたはどちらの小論文を書きたいですか?そして、あなたが大学の教授なら、左の学生と、右の学生のどちらが欲しいでしょうか。
解法ステップが組まれている小論文は左側です。考える小論文は右側です。
分析という言葉にまどわされてはならない。原因の原因を考えても何も分析などしていない
私は経営学修士の学位を持っている分析のプロです。MBAホルダーと一般的に言われるMBAの学位を持っています。私はマッキンゼーと言われる世界一と言われる分析・思考集団から、物事の分析や思考方法を大学院でみっちり仕込まれました。その経験から言えば、原因を考えるのは、分析ではありません。思っただけです。
つまりこういうことです。
・何か思ったことをこう書く
・何か思ったことをこう書く
・何か思ったことをこう書く
(その都度テンプレート思考)
あなたは原因を書けば一段レベルが高い分析ができているなどと勘違いしてしまっていませんか?
とどのつまり、何百時間もの指導のノウハウが実質的に〇〇?
筑波大学名誉教授 澤田昭夫著 「論文のレトリック」P32より引用
あなたはこの解法で「ほら解けてる」という主張をうのみにしてしまっていませんか?
大学の教授は見抜いています。何を見抜いているのかと言えば、「解答例が盛沢山」の参考書は、多くのケースで、最初に提示したワンパターン解法が実は答案作成時に、かなり適当に処理されていることです。しかし、まだ文章を書く技量が少ない受験生はこの点をなかなか見抜けないでしょう。その場逃れの解答例が多いのが実情です。
内容が無いことについて、現代文講師の林氏は、『スッカスカのカッスカス』と言いました。
ほとんどの小論文指導は、どんなに指導時間を伸ばしても、点数が上がらない性質を内包してしまっています。どこに問題があるのでしょうか。
根本的な問題点は、テンプレート思考のワンパターン解法を教えてしまっていることです。
この場合、何百年分の過去問題解説があったとしても、教えていることは、たった一つ、3分で学べる内容なので、
まるで宗教の洗脳活動のように、
ゼンブこの解法でうまくいくようになっている
ゼンブこの解法でうまくいくようになっテイル
ゼンブこの解法でうまくいくヨウニナッテイル
と指導がずっと繰り返されます。繰り返されているうちに受験生も(あれ?そうなのかな?これって本当なのかな?信じちゃってもいいのかな??)などと思い始めるのかもしれません。つまり、結局指導内容はずっとこんな感じです。
ほら、この問題のこの年もこれでいける
ほら、この問題のこの年もこれでイケル
ほら、この問題のこの年もコレデイケル
という解説が、何十時間、何百時間と繰り返されるということになってしまいます。
問題は深刻です。
私はお仕事発注サイトで、『模範解答募集』という内容を見たことがあります。お仕事発注サイトで、慶應大学の過去問題の解答例が募集されており、『それなりの内容でなければ突き返しますので』などと発注されているのです。
これを見た時に私は目を疑いました。
問題の解説は自分でやっている場合があり、問題の解説は自分で行うけれども、解答例はおじさんに発注しているのです。
学生は大事な将来と、キャリアを台無しにしてしまうかもしれません。そのことが一番の問題です。
減点対象を知ることが大切
問題は、情報に価値が無いことではありません。情報がスカスカであるというのは厳しい物言いではありません。本当はもっと恐ろしいと私は考えています。ここまでにご紹介したように、東大の大学院教授が述べているように、これらのノウハウは、論文の原理原則に反するということです。言い換えれば、減点対象になり得る可能性が高いということです。
テンプレート思考は古い時代遅れの解法。古くない新しい『考える小論文』
小論文指導本の95%は不適当な内容である
筑波大学の名誉教授は、このように述べました。
あなたは出版された書籍でありさえすれば、どれでも信用できるなどと思い込んでいませんか?
テンプレート思考は、新しい解法でも何でもありません。何十年も昔から繰り返しいろいろな人が、テンプレート思考論法を提唱してきました。そしてどれもこれも、その解法で解答例を作った・・・ということになっていることについて、強く批判したのが上記の筑波大学の名誉教授です。
どれもこれも、ごまかしだらけの「その場逃れの解答」になっているというわけです。
「いや、当てはまってるじゃないですか」
と、解答例作成者側の人は必ず言うでしょう。しかし、その内容は、設問の要求を無視という致命的な失敗をしてしまっているものがほとんどです。そして、「当てはまっている」という考え方もほとんどこじつけになっているだけということが少なくありません。
原因を書いて対策案を書く書き方が、妥当な書き方に当てはまるかどうか
ここまでにご紹介した筑波大学名誉教授の見識から見た場合、以下の内容はほとんどすべて非対応であると考えられます。
法学部:過去30年間すべて当てはまらず
文学部:過去30年間すべて当てはまらず
経済学部:過去30年間すべて当てはまらず
総合政策学部:設問に恵まれた一部の説明問題が当てはまることがある。
環境情報学部:設問に恵まれた一部の説明問題が当てはまることがある。
例えば以下の問題を見てみましょう。
2018年総合政策学部 設問3(メイン論述問題)
問い1、2の解答を踏まえて、さらに、資料1から6も参考にしつつ、上記の5つのルールに対して、党首選のルールとしての望ましさから、相対的順位をつけてみよ。その際の根拠も書け。(600文字)
原因を書いて対策案を書くような書き方は全く通用しないと言っていいでしょう。
それでも・・・
どんな問題が出題されても、「あてはまっている、これでOK」と答え続けなければならない宿命があるので、このような「テンプレート解法」指導者は、「全部当てはまっていて大丈夫、これでイケル、受かる」と強引に言い続けるしかないのです。
一方で当塾が提唱する「考える小論文」は、次世代の未来の小論文指導です。
当塾では、右脳を活用した速読や、高次元の思考法、感情設計理論に基づく文章術など、次世代のスタンダードとなる指導が少なくありません。言い換えればだからこそ、3年連続全国1位の実績が出ていると言えるでしょう。
宿題システムは「教えられる量」、「頭にインプットする量」が少なくなる「満足主義的指導」であることが多い~ただでさえ時間が不足していて、知識も不足している~
こんなに少なくても受かるんだ・・・と受験まで思い込むことが危険
近年塾で「宿題」を出される「宿題システム塾」が増えるようになってきました。この宿題システム塾の本質は、学習管理ではありません。「少ない学習量で受かる」という触れ込みが、事実上のこれらの宿題システム塾の指導方針であることが少なくありません。
ノウハウの量が少なすぎるから成立しているだけのこともある~
現実には、多くの受験生は、圧倒的に論文作成技術が不足しています。そのため、多くのことを短期間でマスターする必要があります。しかし、その必要は無い・・・このたった一つの「ワンパターン解法」を覚えれば、あとはゆっくり少しずつこの「ワンパターン解法」を問題に当てはめる練習をすればよい・・・・
そんな指導が行われた場合、生徒の側は大喜びです。何しろ、何も勉強する必要がほとんどないからです。
しかし、考えてみればすぐに分かることです。
もし仮に、そのワンパターン解法で、受かるのであれば、明日からあなたでも極端な話塾長になって教えることができるでしょう。なぜならば、実質的にはサポート内容は、そのワンパターン解法の指導だからです。
筑波大学名誉教授 澤田昭夫著 「論文のレトリック」P31より引用
※(カッコ)は文脈より牛山が内容を補足。
あなたは論文の勉強をやらず作文練習に力を入れてしまっていませんか?
澤田名誉教授が強く批判しているように、多くの小論文本は、ワンパターン解法を教えて、あとは、作文練習をやらせます。ワンパターン解法の練習や作文練習帳の練習をやるなら、塾は不要です。テキストを買ってきて、自宅でもくもくとやれば、その方がはるかに速く練習帳を前に進めることができます。そもそも「宿題システム塾」はこのように、本来まったくサポートの必要が無いところに対して、「あれをやろう」「これをやろう」という指示があるだけ・・・というのが特徴です。
それでも、学生の側は、何をすればいいのかが分かった・・・そして、少し年上のお兄さん、お姉さんと話すことができて、安心できた・・・だからこれならできるし、続けられる・・・そして何より、これで受かると言ってくれている・・・
このように実質的には何も教えてもらっていなくても、単に見てもらっていて、雑談もできるというだけで満足をしてしまうことがあります。
パターン解法の末路
板橋教授執筆「AO・推薦入試面接・小論文対策の極意」P37、引用
あなたは、思考パターンを「ワンパターン解法」に入れ込んでも、
考えているのだから、深く考えることができているなどと勘違いしてしまっていませんか?現実には何もこの学生は考えていないと思われているということです。
それもそのはずです。テンプレートにはめる考え方は、どんなに原因の原因を考えても、全く論理的ではない見せかけの浅い考えだからです。
板橋教授は豊富な経験からこのように書籍の中で述べています。
結局のところ、考える方法を教えてもらっていると受験生は勘違いしています。
しかし、その「方法」重視の考え方は、ほとんど何も考えていないということが見抜かれてしまっています。
あなたは構文思考を見せれば一段と考えることをアピールできるなどと勘違いしていませんか?
そして、板橋教授は次のようにも述べています。
——————ここから———————
パターン学習は、指導する側からすれば、受験生一人ひとりの能力、個性など、指導者にとっての不確定要素に左右されずに済み、受験生一人のひとりの欠点を隠すことにより、失敗から遠ざかる最も簡単で有効な方法であると思われるのかもしれません。
受験生の側からしても、「自分で試行錯誤しながら模索していくのが本当の実力がつく勉強法だ」などと正論を言われるよりも「これをやれば大丈夫」ということを示してもらった方が、労力を効率よく使え、勉強という作業の方向性も見えて、安心して飛びついてしまうのかもしれません。
しかし、この「パターン学習」が徹底されると受験生は、我々大学の教員の立場、あるいは受験生本人にとっても、とても困った状態に陥ることになります。
それは「自ら(試行錯誤しながら)考える」という最も大学生あるいは社会人になってから必要な能力からどんどん遠ざかることになるからです。
「パターン学習」に慣れてしまった人は、何でもパターンを記憶しようと努力し、パターンに則って物事を処理しようとし、そして型にはまった考え方、行動から逃れられなくなり、パターンから外れるような物事(社会に一歩出てしまえば、世の中はそのような物事だらけですが……)にひとたび出会 ってしまうと、対処できずに思考停止状態になり、立ち止まってしまう、あるいは精神的にダメージを受けて立ち上がれなくなる、パターンにあてはまらない人、ものを避けて生き ていくようになる、今までにない新しいアイデアが浮かばない、今まで経験したことのないような困難に直面すると、正面から対処せずに諦めてしまう、など既に学生や社会人とな っている最近の若い人たちが陥りがちと言われている問題に直面することになります。(P39、40引用)
———————ここまで——————–
強烈に評価が下がるのにあなたはパターン構文を学びますか?
受験で試されているのは、あなたの主体性や、思考力です。
仮に考えることができていなくても、少なくとも自分の頭で考えようと格闘した受験生の答案には、教育者は拍手を送るものです。
以下の文章も読んでみましょう。
——————ここから———————
徹底したパターン学習を行って「準備万端」の受験生は我々にとって、少々極端な言い方をすれば、無難なワンパターンな答えを考える作業をせずに量産してしまうロボット(最近のロボットは思考能力が備わってきていますが・・・・・)のようで、個性が隠れて見えない人物に見えてしまうことになります。(P41 引用)
知識はもちろん大事ですが、 知識を丸暗記した記憶そのものが大事なのではなく、いろいろな断片的な知識をいかに普段から集めて自分のものとし、質問の意図、問題に合わせて取捨選択して引きだし、組み立て、答えとしていかに形にするか、という思考力が求められているわけです。(P43、引用)
———————ここまで——————–
法律試験ではない小論文では、論証集の利用は危険
法律試験は、ある程度覚えているかどうかがチェックされています。しかし、小論文試験は違います。
——————ここから———————
このタイプの受験生の行動を紐解くと、問題文を「読んだつもり」になったあと頭にあることは、「自分がこれまで先生に習った想定問答のパターンのどれにあてはまるか、あるいはあてはめられるか」です。あるいはこんな風にも言えるでしょう。「この問題の答えを、自分の受験勉強の中で暗記してきたいずれかの解答パターンになんとか持ち込めるだろ うか?」と考えるのです。
そして次に解答するように求められた分量(字数)に意識がいくわけですが、何となく「多いなぁ」と思ってしまいます。そして「この字数を埋めるには、あのパターンとこのパタ
ーンとあの内容とこの内容で埋めれば……」などと「漠然と」・考えながら、「多い文字数を埋めなければいけない、埋まらなかったらどうしよう」という恐怖心と闘いながらも、あせって「いきなり」解答用紙のマス目を埋めて書き始めていきます。(P52,引用)
———————ここまで——————–
あなたは論証集を活用すれば、効率的に小論文の勉強を進めることができるなどと考えていませんか?
小論文試験で見られているのは暗記力ではない
小論文試験では、応用的思考力や、洞察力、柔軟な思考力や構想力、問題発見・問題解決力が見られています。
引き続き板橋教授の見解を部分的にご紹介しましょう。
——————ここから———————
大学は「考える」ことのできる人材を求めているのであって、「暗記力」のある学生を求めているわけではないからです。(P70 引用)
「想定問」を想定することは非常に有益ですが、同時に「想定答」を作り、「想定問答」をセットで暗記しようとする作業は、受験生にとって有益とは言えません。(P123 引用)
「想定答」の最大の弱点は「応用が利かない」ということです。(P124 引用)
試験官の目に映るあなたはなにしろ「思考していない」という印象が強く残ることになるのです。
それは大学において物事をしっかり「考える」人材を養成したい、そういう素養を持った学生を入学させたいと願っている大学側にとっては、知識の丸暗記のみが得意である「必要としない人材」と評価されることにつながるでしょう。(P125 引用)
———————ここまで——————–
ネタを活用する方が効率的などと考えていませんか?
私自身SFC一発ダブル合格、
慶應SFC6年連続ダブル合格者輩出、
慶應SFC総合政策全国1位(小論文)
慶應SFC環境情報全国1位(小論文)
約2400人中小論文全国模試全国1位(三田の学部)
偏差値85以上の報告を2年連続でもらう(小論文)
こんなことがなぜできるのでしょうか?
テンプレート解法を使わず、
知性を育む小論文教育をやっているからです。
それでもパターン解法にもいいところはあるのでは??
それでも、パターン解法にもいいところがあると考える人もいるでしょう。
まず、そもそも合格者がいるということを気にする人もいるかもしれません。ところが、合格者がいることは、何の参考にもなりません。なぜならば、試験は点数が高ければ合格だからです。そもそも、点数が下がる方法で合格する人は次のどれかです。
- ①そもそも頭がいいので、何を書いても受かる。
- ②そもそも英語やその他の試験の成績が良いので受かる。
- ③ラッキーで受かる。(試験の問題形式からたまたま減点されない。)
そして、安売り塾の場合、大量受験するので、必ず合格者が出ます。このような単純なカラクリに気づかず、なぜ合格できているのかが分からない場合、何がいいのかがさっぱり分からなくなってしまいます。
そもそも、大学教授がダメという論文の書き方は原則ダメです。大学とはそういうところであり、大学教授は論文を書くプロです。論文を書くプロは博士課程を経た人です。
それが大学という機関です。大学生はまだ論文を一つも書いたことが無い人です。従ってネットに転がっている大学生が書いたような論文の書き方は何の参考にもなりません。
ワンパターン解法の最大のメリットは、何も考えなくていいことです。頭を使わないので、文字を埋めやすいというメリットがあるでしょう。
しかし、まさしくこの最大のメリットこそが、大学教員の嫌悪感の対象です。大学とは学問をするところです。その学問をするところ、ましてや慶應やトップスクールを受験する人が、その知性が自分には全くありませんと、白状するようなもの、それがワンパターン解法です。
そして、ワンパターン解法は以下のような強烈なデメリットがあります。
【ワンパターン解法の強烈な危険性】
- 1) そもそも解決策など求められていないのに解決策を提示してしまう。(石川教授は、短絡的な解決策の提示について評価できないとコメント。そもそも求めていない。)→小論文は解決策を書く試験ではありません。
- 2) 問われていないことを書くので論点がズレてしまう。(論点がズレた論文は、論文試験では最も低評価です。)
- 3) 複数論点が生じてしまい、論文を書く力が無いと思われてしまう。(論点を一つに絞るのは、論文の最も基本的な部分です。)
- 4) この受験生は自分の頭で考える力が欠落していると思われてしまう。(知性を疑われてしまう。また、安易な方法で論文テストをすり抜けようとしているその根性が、知性を評価する大学という機関の教員から見て低く評価されてしまう。)
- 5) 試験対策が、安易で手軽な方法で行われていることを大学側も知っているため、何らかの対策が講じられてしまう。
- 6) 原因を書いて対策案を書くなどの「原因論法」をやっている場合、そもそも原因が単なる自分の推測であるため、論理思考ができない人というレッテルを貼られてしまう。
→※この点については、メルマガ登録特典の「丸わかりガイド」の中で詳しく解説しています。「落ちる人のSFC対策、受かる人のSFC対策」という記事で動画付きで詳しく解説しています。(法学部・文学部受験生も必見)
たった一度しかない人生の貴重な受験機会を、このような危険だらけの方法で突破しようとする場合、どんなメリットがあるでしょうか。単に、少しだけ書きやすくなるかもしれないというわずかなメリットと、これらの強烈なデメリットを比較した場合、ワンパターン解法を選択する意味はほとんどないと言えるでしょう。
立教大学教授 石川巧著 「いい文章」ってなんだ?P240より引用,2010,ちくま新書
大学の教員が評価されるはずがないと自分の著書で断言するような書き方がワンパターン解法です。ワンパターン解法とは、考えるステップと書く内容が固定されているものです。最初はこれを書く、次はこれを書く、その次はこれを書く、このステップと考えるステップが一緒になっているものが、減点対象となる書き方です。原因を書いて対策案を書く、確かに~しかし・・・と書く、このようなやり方をしないことが大切です。
この「少し文字を埋めやすくなる」というたった一つのわずかなメリットすら、実を言えば、ほとんど意味がありません。なぜならば、思いつかない、書けないという悩みは、簡単に別の方法で解決できるからです。
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