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多くの侍が訪れました。刀を売って欲しかったからです。
しかしその職人はどんな侍にでも刀は売りませんでした。
その職人は昔優秀な侍でした。

だからよく分かっていたのです。
どんなに切れ味が鋭い刀であっても、その刀に合った使い方をしなければ全く切れないという事を・・・。

ある日いつもよりたくさんの侍がこの職人の元を訪れました。

理由は将軍家専属の指南役として、剣術家を選ぶ為の大会が開かれる為でした。
この大会で勝ち、将軍家の剣術指南役となる為に多くの侍がこの地方を訪れていたのです。
最初に職人の元を訪れた侍はこう言いました。

侍『オレは腕には自信があるんだ。とにかく一番切れる刀をくれ。
そうすりゃおれが優勝だ。』

職人『そうですか、それでは、この刀はどうですか。
この刀の使い方には注意があって・・・』

侍『いいんだ。余計な事は言うな。とにかく切れる刀をくれればそれでいいんだよ。

俺は刀の事は分かっている。オレはな、
柳生の息子だぞ、柳生様はな、天下一の道場だ、
わっはっは、お主に刀の使い方なぞ教えられるものか。
この刀だな。もらっていくぞ。釣りはいらん。柳生だからな。わっはっは』


強引に刀を持っていってしまいました。そして、
試し切りをする為に、竹を切りました。しかし思うように切れません。

侍『なんだこの刀は、切れんじゃないか。噂はウソだな。おーーいこの刀鍛冶は駄目だ。柳生の息子が言うんだ間違いない。まったくくだらん刀を買わせやがって』

不満をもらし、その場を去りました。










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