次に職人の元を訪れたのは若い武士でした。元々有名な武士の息子であり、家柄が良かったからかもしれません。礼儀正しく礼をして職人から刀を受け取り、職人から刀の使い方の注意点をよく聞き、刀を買っていきました。
この若い武士も、竹の試し切りをしました。最初はうまくいきませんでしたが、
職人に教わった注意点を守り、続けているとこの刀の切れ味のするどさに気づき、この切れ味がまぎれもなく本物である事を理解しました。
ところが試し切りを続けている内に、ある事に気づきました
。この刀でうまく切ろうとすると、どうしても剣を振る時の動作が大きくなってしまい、対戦をする時に大きなスキを作らなければならないという事に気づいたのです。
『なんだこの刀は・・・・やたら切れると思ったら、実戦で使えないじゃないか・・・確かに切れるが実戦では使い物にはならない。ハッハッハ。噂というのは、間違いではないが、案外こういうところに落とし穴があるものよ。』
不満をもらし、その場を去りました。
次に職人の元を訪れたのは、ビクビクした弱そうな侍でした。仕える主人がいないのかひどくみすぼらしい身なりの若者でした。この若い武士は必死でした。職人から注意点を教わると、聞かなくてもいいような事まで教えてもらい、他の人の何倍も老人から注意点を教わると深々と礼をして、刀を買っていきました。
この若者も竹で刀の試し切りをしました
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