はじめに・第1章・第2章・第3章・第4章・第5章・第6章・第7章・第8章・第9章・第10章・最後に
U 世間基準と各業界基準の違い (1) 一流の世界と二流の世界(どう思われるかばかりを気にしている人へ) 私立大学については、特に国立大学志望者や、偏差値等を気にする人の中には抵抗がある人もいるようである。国立大学進学者は確かに優秀な人物が多い。真面目にコツコツと勉強を行い、そつなく仕事を処理する力がある人物が多い。センター試験や国立大学の問題ではこのような能力をある程度正確に計測できる問題が作成されている。高校の側では大学進学実績を大きくアピールしたいとの思惑もあり、国立への進学実績を重視することも少なくない。そのため生徒のキャリアパスや将来よりも、無難に進学できる国立を生徒の志望動機を無視して押し付けることも少なくないという。生徒の偏差値に合わせた県外の国立大学を軒並み意味なく勧める教師も中に存在する。このような原理は塾業界にも働く。塾は国立進学実績の欲しさから国立を適当に薦めることもある。 生徒の側では、このような世界が、自分が見聞きする世界のすべてであるため、とにかく国立に行けば同級生からの評価が上がると思い込んでいることも多い。 一方で経済界や政界では、どのレベルのキャリアを積んでいるのかという目で見られることも少なくない。国立大学出身者は当然に社会的信用も高いが、早慶の出身者等も政財界で広く活躍している。各省庁への入省率の高さも特徴である。この10年間、東大、京大、慶應、早稲田が省庁への入省実績数において上位4校となっている。 (2)経済界 経済界では、慶應出身者が活躍しているのは有名である。公認会計士の排出数は数十年間慶應大学が1位である。また、上場企業の役員数排出数は長年1位、社長排出数のランキングも長年3位以内で1位〜3位のあたりで動きがある。出世力が高い大学と表現できるかもしれない。慶應大のこのような経済界での活躍については、慶應生の特性として、行動量、行動力等を学習とバランスよく配分していくことにあるのではないかとの見方もある。実業界では結果を出すために重要な指標として、一般的に行動力が見られることが多い。 加えて以下のようなデータもある。
出所:「使える人材輩出大学ランキング」2014年度 週刊ダイヤモンド(ダイヤモンド社)
少し上記のデータについて、個人的に有名大学を弁護すれば、以下の点に注目すべきである。このデータについては、ランキングがA−Bという形で計算されている。したがって、比率で見れば、ビジネスマンウケが良い大学は変わってくるかもしれない。東京工業大学、一橋大学に至っては極めて高い比率で優秀な人材がいることも予想される。東大や京大は一般的に雲の上の存在のように見られることも多く、期待値の高さから、ガッカリされやすいという「期待値の重荷」もあるはずだ。少なくとも私が知っている京大、東大出身者は大変頭脳明晰である。 ただし、経済界においては、数は力である。したがってご子息が将来日本や海外の経済界で孤軍奮闘する際に、上記のような色眼鏡で見られ、経済界では、優秀な人材群が分布しているという認識は重要だという見方もできる。上記の結果はあくまでも、総合的な大学運営の一つの結果である。 また理系については、上記と同様のランキングでは、1位 東京工業大学 2位 京都大学 3位 東京理科大学 4位 東京大学 5位 大阪大学となっている。 (3)政界・法曹界・官界 政界では、慶應大学出身者は、近年橋本龍太郎元首相(82.83代)、小泉純一郎元首相(87.88.89代)などが活躍している。早慶についての学歴観は、人により様々だが、少なくとも政界においては、早慶出身者の活躍が近年目覚ましい。福田康夫元首相、小渕恵三元首相、海部俊樹元首相、は早稲田の出身である。政界では、東京大学出身者の活躍が大きいが、平成元年以降の首相を見れば、早慶出身者も多い。 法曹界では、司法試験合格者数ランキング、合格率ランキングで慶應大学は常にベスト5以内であり、全国1位になった年もある。 官界へは先ほど述べた通り、東大、京大に続く形で、早慶の出身者が多い。 もちろん、このような日本国における早慶出身者のプレゼンス向上の背景には、私学軽視の学歴観や、国家主導の政策として、官位学校卒業生が戦前から活躍する背景があったことは念頭に置いておきたい。もともと早慶と言えど、戦前の官位学校のような圧倒的プレゼンスは無かったとも表現可能である。
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